溶接部の検査方法 - 非破壊検査の基礎
溶接部の良し悪しは、外から見ただけでは分からないことがあります。代表的な非破壊検査の種類と、使い分けの考え方を紹介します。
2026-11-03
なぜ検査が必要なのか
溶接部には、表面の割れや内部の空洞、溶け込みの不足など、強度や気密に影響する欠陥が生じることがあります。こうした欠陥の中には、目で見ただけでは分からないものがあります。製品を壊さずに内部や表面の状態を調べる方法が、非破壊検査です。
レーザー溶接はビードが細く、外観が整いやすい溶接方法ですが、見た目がきれいであることと、内部が健全であることは別の問題です。製品に求められる品質に応じて、検査の方法と頻度を決めておく必要があります。
検査の方法と基準をあらかじめ決めておくことは、取引先との認識のずれを防ぐことにもつながります。どの状態を合格とするのかがあいまいなままでは、納品の後で手直しが発生し、双方の負担が大きくなります。
代表的な検査方法
現場でよく用いられる方法を整理します。
| 方法 | 分かること | 特徴 |
|---|---|---|
| 外観検査 | ビードの形、表面の割れや穴 | すべての基本。照明や拡大鏡を使う |
| 浸透探傷 | 表面に開いた微細な割れ | 材質を選ばず、道具が比較的簡単 |
| 磁粉探傷 | 表面と表面近くの割れ | 磁石に付く材料が対象 |
| 超音波探傷 | 内部の欠陥 | 技量と機器が必要 |
| 放射線透過 | 内部の空洞など | 設備と管理体制が必要 |
それぞれの方法には、見つけやすい欠陥と見つけにくい欠陥があります。一つの方法ですべてを確かめることはできないため、製品の重要度に応じて、複数の方法を組み合わせることもあります。
このほか、容器や配管では気密や漏れの試験が行われます。
検査方法の選び方
どの方法を選ぶかは、製品の用途と要求によって決まります。
- 図面や仕様書に検査の指定があるかを確認する
- 指定がない場合は、想定される欠陥と重要度を整理する
- 外観検査の基準を見本や写真で定める
- 必要に応じて、専門の検査会社への依頼を検討する
全数を検査するのか、抜き取りで検査するのかも、あらかじめ決めておく事項です。新しい製品の立ち上げの時期は頻度を高くし、品質が安定してから見直すという進め方が、現場では多く採られています。
外観での見分け方は溶接ビードの見方で解説しています。
検査だけに頼らない品質づくり
検査は不良を見つける手段であり、不良を減らす手段ではありません。溶接前の脱脂や継手のすき間の管理、条件の記録といった工程内の取り組みが、安定した品質の土台になります。検査で見つかった不具合は、原因を工程にさかのぼって記録し、再発を防ぐ材料にします。
検査の記録は、日付・担当者・結果を残し、後から追えるようにしておきます。記録があれば、不具合が見つかったときに、影響する範囲をすばやく絞り込めます。溶接の条件の記録と結び付けておくと、原因の調査にも役立ちます。
品質管理の全体像は検査・品質のガイドにまとめています。