ガルバノスキャナとは - マーキング機の心臓部
レーザーマーカーが文字や図形を高速に描けるのは、ガルバノスキャナのおかげです。仕組みと、仕上がりを左右するポイントを解説します。
2026-09-16
2枚のミラーで光を動かす
ガルバノスキャナは、モーターに取り付けた小さなミラーを高速で回転させて、レーザー光の向きを変える装置です。X方向用とY方向用の2枚のミラーを組み合わせることで、光を平面上の狙った位置へ振り分けます。
加工ヘッドやワークそのものを動かす方式と違い、動かすのは軽いミラーだけなので、非常に速く正確に照射位置を切り替えられます。レーザーマーカーが細かな文字やロゴ、二次元コードを短い時間で描けるのは、この仕組みのおかげです。ミラーの角度は、コントローラーが図形データに合わせて絶えず制御しています。スキャナの応答の速さと制御の精度が、そのまま描画の速さと仕上がりを左右するため、「マーキング機の心臓部」とも呼ばれます。
fθレンズとマーキングエリアの関係
ミラーで振った光は、fθ(エフシータ)レンズによって平面上に焦点を結びます。fθレンズは、ミラーの振れ角に比例した位置に光が届くよう設計されたレンズです。どの焦点距離のレンズを使うかで、一度に加工できる範囲(マーキングエリア)が変わります。普通のレンズでは、エリアの端ほど焦点が平面から外れてしまうため、スキャナにはこうした専用のレンズが組み合わされます。
| 項目 | 焦点距離が短いレンズ | 焦点距離が長いレンズ |
|---|---|---|
| マーキングエリア | 狭い | 広い |
| スポット径 | 小さく、細かな表現に向く | 大きめで、エネルギー密度は下がる |
| ワークまでの距離 | 短い | 長い |
エリアが広いほど便利に見えますが、精細さや加工の速さとのバランスを考えて選ぶ必要があります。機種によっては、用途に合わせてレンズを交換して使うこともできます。
仕上がりを左右する設定と点検
マーキングの品質は、スキャナの動かし方の設定にも左右されます。書き始めや書き終わりに点が濃く残る、角が丸くなる、線がつながらないといった症状は、マーキング速度やジャンプ速度(加工しない区間の移動速度)、レーザーのオンオフのタイミングを調整する遅延設定で改善できる場合があります。
- エリア全体の歪みを補正する較正(キャリブレーション)ができているか
- ワークの高さが焦点位置に合っているか
- レンズや保護ガラスに汚れや付着物がないか
- マーキング中に異音やエラー表示が出ていないか
マーキング以外への広がりと選び方
ミラーでビームを振る仕組みは、マーキング以外にも、レーザー洗浄ヘッドの走査や溶接ヘッドの揺動(ウォブル)などに応用されています。一方で、一度に加工できる範囲はレンズで決まるため、大きな部品や段差・曲面のある部品では、位置決め治具や回転装置との組み合わせ、エリアを分けた加工などが必要になることがあります。たとえばパイプのような筒状の部品の外周に刻印する場合は、回転装置で部品を回しながら加工する方法がとられます。
何を、どのくらいの大きさと細かさで刻印したいかを整理すると、必要なエリアとレンズの組み合わせが見えてきます。活用の例はレーザーマーキング・刻印ソリューションをご覧ください。実物での試し打ちを希望される場合は、サンプル加工の依頼方法をご確認のうえご相談ください。