マイクロジョイントとは - 部品の脱落と傷を防ぐ
小さな部品が落ちる、傾いてヘッドに当たる。マイクロジョイントは、その困りごとを加工前に防ぐ手法です。使い方と注意点を整理します。
2026-09-26
マイクロジョイントとは
マイクロジョイントは、切断する輪郭の一部をごくわずかに切り残し、部品を母材(スケルトン)につないだままにしておく手法です。タブ、切り残しなどとも呼ばれます。加工が終わった時点では部品はまだ板から外れておらず、あとで手で折り取ったり、工具で切り離したりして分離します。
設定はCAD/CAMやネスティングソフト側で行うのが一般的で、輪郭のどこに、どれだけの幅で残すかを指定します。レーザー切断では材料を1枚ずつ固定できないことが多く、切り終わった部品は自由な状態になります。その「自由になるタイミング」をこちら側でコントロールする、という考え方です。
脱落・傷・干渉を防ぐ
- 小物部品がテーブルのすき間から落ち、回収に手間がかかる
- 切り離れた部品が傾き、加工ヘッドやノズルと接触する
- 部品が動いて未加工の輪郭がずれる、切り残しが出る
- 部品同士が擦れて表面に傷が付く
- 切りくずやスパッタの上に部品が乗り、裏面が荒れる
薄板の小物を多数取りする場合、これらは現実的なリスクです。部品が傾いてヘッドに当たれば、ノズルや保護ガラスの損傷、加工の中断にもつながります。マイクロジョイントで板につないでおけば、加工が終わるまで部品の位置が保たれ、板ごと取り出して落ち着いて分離できます。回収の手間が減り、部品を紛失することもなくなります。
逆に、部品が大きく安定していて自重で動かない場合や、切り終わった部品を保持できる設備がある場合は、必ずしも必要ありません。自社の機械と部品の大きさを見て、「このくらいの部品から使う」という線引きを持っておくと、毎回迷わずに済みます。
残す位置と幅の決め方
マイクロジョイントは万能ではなく、切り離した跡が残ります。そのため「どこに残すか」が品質を左右します。基本は、外観に影響しない面、後工程で削る面、曲げや溶接で隠れる位置を選ぶことです。逆に、はめ合い部や基準面、シール面に残すと手直しが必要になります。
幅は部品の重量や板厚、材質のねばりを踏まえて決めます。狭すぎれば加工中に自然に切れてしまい、広すぎれば分離に力が必要でバリも大きくなります。適正な幅は機種や加工条件で変わるため、実際の材料で試し切りをして決めるのが確実です。大きな部品では、1か所ではなく複数に分けて残すほうが安定します。
分離と仕上げまで含めて考える
マイクロジョイントは、加工中の手間を後工程に移す手法でもあります。分離にかかる時間、折り取り時の切創などの安全面、バリ取りの工数まで含めて、全体で得かどうかを判断します。数量が多い部品ほど、この差は積み上がります。分離作業は手袋や保護具を使い、材料が跳ねない向きで行ってください。
使うか使わないかは、部品の形状・数量・要求品質で決まります。入稿データの段階で方針を決めておくとやり直しが減るため、入稿データの整え方とあわせて社内ルールにしておくとよいでしょう。判断に迷う形状は、実際の材料でテスト加工を行うのが近道です。図面の段階からのご相談もお問い合わせフォームで承ります。