技術
気密・水密が求められる溶接の注意点
タンクや配管、冷却ジャケットなど「漏れてはいけない」製品の溶接では、強度とは別の視点が必要です。
2026-11-08
漏れが問題になる製品
水や空気、油、冷媒などを閉じ込める製品では、溶接部の強度が十分でも、わずかな隙間があれば不良になります。タンク・配管・筐体・冷却ジャケット・ダクトなど、製造業の現場で扱う製品の多くがこの条件を持っています。
気密・水密が求められる溶接では、「ビードが連続しているか」「貫通する穴(ピンホール)がないか」が合否を分けます。見た目がきれいでも漏れることがあるため、外観だけで判断しないことが大切です。
レーザー溶接は熱の入り方が局所的で歪みが少ないため、薄板の箱物や配管の封止に向いています。一方で溶融池が小さいぶん、隙間や汚れの影響を受けやすく、気密を狙うなら準備の精度がそのまま結果に出ます。
漏れの主な原因
- ピンホール:材料表面の油・めっき・塗料などがガス化して溶融池に残る
- 溶込み不足:板の合わせ目まで溶けておらず、隙間が残る
- ビードの途切れ:始端・終端の重なり不足、途中での速度変動
- クレーター割れ:終端で溶融池が急冷されて生じる微細な割れ
- 隙間(ギャップ)過大:突合せ部の隙間が大きく、溶けた金属で埋まらない
原因の多くは前処理と継手精度にあります。溶接前処理の重要性と継手形状と設計のコツもあわせてご覧ください。
設計と施工での工夫
- 合わせ面を脱脂し、めっきや塗膜は溶接線上から除去する
- 曲げ・切断の精度を上げ、突合せの隙間を小さくする
- ビードは一筆書きのように連続させ、始端と終端を重ねて閉じる
- 終端は出力を徐々に下げる(スローダウン)などでクレーターを避ける
- 両面から溶接できる形状なら、表裏で二重に封じる設計も検討する
ワイヤー送給ありの溶接は隙間を埋めやすい反面、送給の乱れがビードの途切れにつながることがあります。条件は実物に近い試験片で確かめてください。
溶接順序も重要です。長い継手を一方向に一気に溶接すると熱で隙間が開いていくことがあります。仮付けで位置を固定してから本溶接に入る、対称に分けて溶接するといった工夫で、終盤の隙間過大を防げます。
検査方法と要求水準の確認
気密・水密の確認には、加圧して圧力低下を見る方法、水に沈めて泡を見る方法、石けん水を塗る方法、専用のリークテスターを使う方法などがあります。どの方法でどの水準まで求めるかは、製品の用途や顧客の仕様で決まります。
受注前に「試験方法・圧力・保持時間・合格基準」を書面で確認しておくと、後からの認識違いを防げます。ポンプ・バルブなど流体機器の加工についてはポンプ・バルブ分野の事例ページもご覧ください。
よくある質問
ビードがきれいなら漏れませんか?
外観が良くてもピンホールや溶込み不足で漏れることがあります。気密が必要な製品は、必ず試験で確認してください。
漏れた場合は再溶接で直りますか?
原因がピンホールなど局所的なものであれば補修できる場合がありますが、繰り返すと熱影響が広がります。まず原因を特定することをおすすめします。
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2026-11-08 / カテゴリ: 技術 / サンマックスレーザー株式会社(製品は国内で最終組立・検査・調整しています)