技術
溶接前処理(脱脂・酸化膜除去)の重要性
溶接の不良は、溶接を始める前から始まっていることがあります。脱脂と酸化膜除去がなぜ重要なのか、方法と手順のコツを解説します。
2026-09-24
前処理で溶接の結果が変わる理由
溶接する部分に油分や水分、さび、塗装などが残っていると、熱で分解・蒸発して生じたガスが溶けた金属に取り込まれ、ブローホール(内部の気孔)やピットの原因になります。汚れがあると溶け方も不安定になり、スパッタの増加や溶け込みのばらつきにもつながります。
レーザー溶接は熱を狭い範囲に集中させるため、溶ける部分が小さく、表面の状態の影響を受けやすい面があります。表面のさびや皮膜によって光の吸収のされ方が変わると、同じ条件でも溶け込みが変わることがあります。条件を何度見直しても安定しないときは、材料の表面状態から確認してみるのが近道です。
取り除きたい汚れと主な方法
| 対象 | 残した場合の影響 | 主な除去方法 |
|---|---|---|
| 油分・指紋 | 気孔・スパッタ | 溶剤などによる脱脂 |
| さび・黒皮(ミルスケール) | 溶け込みのばらつき・異物の混入 | ブラシ・研磨・レーザー洗浄 |
| アルミの酸化皮膜 | 融合不良・溶け込み不足 | 専用のブラシや研磨、薬品による処理 |
| 塗装・めっき | 気孔・有害なガスの発生 | 溶接する範囲の除去 |
アルミの表面を覆う酸化皮膜は、母材よりはるかに融点が高く、薄くても溶接の妨げになります。アルミ特有の注意点はアルミ加工のコツもご覧ください。
前処理の手順とコツ
- 脱脂/先に油分を落とします。油が残ったままブラシをかけると、汚れを広げたり押し込んだりするおそれがあります
- さび・酸化膜の除去/ブラシや研磨、レーザー洗浄などで、溶接する範囲の皮膜を取り除きます。ステンレスやアルミには、鉄に使ったブラシや砥石を流用せず、専用の道具を使います
- 再汚染を防ぐ/処理した面は素手で触らず、清潔な手袋で扱います
- 早めに溶接する/時間がたつと再び酸化や汚れが進むため、処理から溶接までの間隔を空けすぎないようにします
溶剤は種類によって引火性や有害性があります。使用する製品のSDS(安全データシート)を確認し、換気や火気の管理などを守って扱ってください。
前処理を「手順」として定着させる
前処理は作業者任せにすると省略されやすく、品質のばらつきの原因になります。処理の方法、使う道具、溶接までの時間の目安を作業手順書に書き込み、誰が担当しても同じ状態で溶接に入れるようにしておきましょう。
さびの除去と溶接を同じ機械で行えれば、段取りの手間を減らせる場合があります。当社のFL-LCW-PROは、溶接・切断・さび取りを一台でこなすハンディファイバーレーザー溶接機です。前処理に使えるかどうかは材質や表面の状態によるため、実際の材料で確認することをおすすめします。自社の用途に合う機種を知りたい場合は、機種診断もご活用ください。
よくある質問
前処理のあと、どれくらいで溶接すればいいですか?
時間がたつほど再び汚れや酸化が進むため、できるだけ早めに溶接するのが基本です。特にアルミは表面が酸化しやすいため、作業手順の中で前処理と溶接の間隔を決めておくと品質が安定します。
脱脂にはどんな溶剤を使えばいいですか?
母材や後工程、職場の安全基準によって適したものが異なります。使用する溶剤はSDS(安全データシート)で性質を確認し、換気や火気の管理など、記載された取り扱いに従ってください。
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2026-09-24 / カテゴリ: 技術 / サンマックスレーザー株式会社(製品は国内で最終組立・検査・調整しています)