ガラスへのレーザーマーキング
透明で割れやすいガラスへのマーキングは、方式選びと熱の入れ方が鍵。基本と注意点を解説します。
2026-10-10
ガラスは透明だから難しい
ガラスへのマーキングが難しい理由は、光を通してしまうことです。レーザー加工は光が素材に吸収されて初めて熱になるため、透過してしまう波長では加工になりません。金属加工で広く使われる約1μm帯のファイバーレーザーは、一般的なガラスをほぼ透過します。
一方、CO2レーザーの約10.6μm帯は一般的なソーダライムガラスに吸収されるため、表面を白く曇らせるマーキングが可能です。もう一つの選択肢が、波長の短いUVレーザーです。同じガラスでも、組成や表面のコーティングの有無で結果は変わります。用途としては、容器や什器への表示、装飾、識別のための記号などが挙げられます。まず自社で扱うガラスがどの種類かを把握することが出発点です。方式の違いはレーザーマーキングの種類で整理しています。
割れとの付き合い方
ガラスは熱による膨張差に弱く、急に熱を入れると微細なひび(マイクロクラック)が広がります。マーキングが白く見えるのは、この表面の細かな荒れによって光が散乱するためです。つまり「割らずに、表面だけを細かく荒らす」のが狙いどころになります。
実務では、入熱を抑えて複数回に分ける、点の間隔を詰めすぎない、縁や角から距離をとる、といった手当てが使われます。とくに強化ガラスは小さな傷から全面が破砕する性質があるため、加工は避けるか、必ず事前に十分な検証を行ってください。製品の安全性に直結する部分です。加工の速さを求めて一気に熱を入れると、その場では割れなくても、時間が経ってからひびが進むことがあります。出荷前の検査工程まで含めて品質を確認してください。
方式と手法の使い分け
| 手法 | 特徴 |
|---|---|
| CO2レーザー | 表面が吸収するため加工しやすい。熱の影響を抑える条件出しが必要 |
| UVレーザー | 波長が短く、熱の影響を抑えた加工を狙いやすい |
| マーキング用の被覆材を併用 | 表面に専用の膜やシートを介して加工し、仕上がりを均一にしやすい |
どの手法でも、素材の組成(ソーダライム、ホウケイ酸、石英など)によって結果が変わります。同じ「ガラス」という呼び名で条件を共通化しないことが大切です。どの手法を選ぶかは、求める見え方と生産量、そして割れのリスクをどこまで許容できるかで決まります。薄いガラスや曲面のある製品では、治具の工夫も含めた検討が必要です。UVレーザーの基本はUVレーザーの基礎をご覧ください。
現場で押さえる段取り
- 加工前に表面の油分や汚れを落とし、条件のばらつきを減らす
- 治具で高さを一定に保ち、焦点位置をそろえる
- 加工後に出る微細なガラス粉を確実に除去する
- 破片と粉じんの飛散対策、保護具の着用を標準にする
- 同じ製品でもロットで組成が変わることがあるため、変更時は再確認する
治具と清掃の手間まで含めて、一個あたりにかかる時間を見積もっておくと、量産化の判断がしやすくなります。透明な製品は照明の当たり方で見え方が変わるため、検査の条件も先に決めておくと安心です。割れが出たときに原因を追えるよう、条件と材料の記録も残してください。
ガラスは、やってみないと分からない度合いが大きい素材です。製品に使う実物でのテストマーキングはお問い合わせからご相談ください。