停電・瞬時電圧低下への備え
停電だけでなく、一瞬の電圧低下でも加工機は止まります。事前の備えと、復電後にやるべき手順を整理しました。
2026-10-01
瞬時電圧低下でも機械は止まる
停電は分かりやすいトラブルですが、現場で意外と困るのが瞬時電圧低下(瞬低)です。落雷や送電系統の事故で電圧がごく短時間下がるだけでも、制御機器は安全側に働いて停止します。照明が一瞬暗くなった程度に見えても、加工機は止まり、アラームが出ます。
止まって失われるのは加工中のワークだけではありません。制御用のパソコンが正常な手順を踏まずに落ちれば、設定や加工データが壊れることがあります。集じん機やコンプレッサ、冷却装置も同時に止まります。復電時には各機器が一斉に立ち上がるため、ブレーカが落ちることもあります。夏の夕立や台風の時期は、特に起こりやすくなります。
計画停電に備える
- 停電の日時を確認し、加工の予定を前後にずらす
- 加工データ・設定・条件表のバックアップを取る
- 取扱説明書の手順で正常に停止し、指示された範囲で電源を切る
- 復電後は、立ち上げの順序を決めて機器を順番に起動する
- 起動後はアラームの有無を確認し、試し加工で状態を見てから本番に入る
この手順を紙1枚にまとめて機械の近くに貼っておくと、詳しい担当者が不在でも慌てずに済みます。あわせて、どのブレーカがどの機器に対応しているかを表示しておくと復旧が早くなります。受電設備側の工事や確認は、有資格者や施工業者に依頼してください。
停電の予告は書面や掲示で届くことが多く、現場まで伝わらないまま当日を迎えることがあります。受け取った人が誰に渡すかを決めておくと、段取り漏れを防げます。同じ建屋に他社が入っている場合は、共用設備の停止範囲もあわせて確認しておきます。
突然の停電のあとにすること
予告なく止まった場合は、まず安全の確認です。機械のそばに人がいないか、加工物やスパッタに火種が残っていないかを見て、周囲を片付けます。煙や異臭があれば換気し、冷却水が漏れていないかも確認します。暗い場所での作業は無理をせず、照明を確保してから動きます。
そのうえで、ブレーカや漏電遮断器の状態、非常停止が押されたままになっていないかを確認し、取扱説明書の起動手順に戻ります。再起動してもアラームが消えない、異音・異臭・水漏れがあるという場合は、繰り返し起動を試さずサポートへ連絡してください。カバーを外しての通電確認や、安全装置の解除は行わないでください。
復旧を急ぎたい気持ちは分かりますが、原因が電源側にあるのか機械側にあるのかを切り分けないまま動かすと、同じ停止を繰り返すことになります。まず電源が正常に戻っているかを確かめてから、機械の起動に進んでください。
どこまで備えるかを決める
UPS(無停電電源装置)は、制御系を安全に終了させたりデータを守ったりする目的では有効です。一方、加工機全体を停電中も動かし続けるには大きな容量が必要で、現実的でない場合がほとんどです。「何を守りたいのか」を先に決めてから検討すると、過剰な投資を避けられます。まずはデータのバックアップと復旧手順の文書化という、費用のかからない対策から着手するのが順当です。
電源の容量や受電設備の考え方は電気代と電源の基礎でも触れています。復電後の点検で不安が残るときや、停電後に加工品質が変わったと感じたときは、保守・サポートの考え方を参考に、早めにお問い合わせフォームからご相談ください。