基礎

レーザー加工してはいけない素材 - 有害ガスに注意

レーザーには当ててはいけない素材があります。人と設備を守るために最低限知っておきたい素材を整理します。

2026-10-07

なぜ素材を確認する必要があるのか

レーザー加工は、素材を熱で溶かしたり分解したりする加工です。つまりその素材が熱で分解したときに何が出るかが、そのまま作業環境の問題になります。見た目が似ていても、樹脂は組成によって分解生成物がまったく異なります。

もうひとつは設備への影響です。腐食性のガスは光学部品や板金、集塵機の内部を痛め、時間をかけて故障の原因になります。加工できたように見えても、後から効いてくるのが厄介な点です。

作業者の健康と装置の寿命の両面から、素材の確認は加工前の必須作業だと位置づけてください。新しい素材を扱うときほど、この手順を省かないことが大切です。

加工を避けるべき素材・特に注意が必要な素材

素材主な懸念
塩化ビニル(PVC)・塩ビレザー塩素を含み、分解で塩化水素などの有害・腐食性ガスが出る
フッ素樹脂(PTFEなど)フッ素化合物の有害なガスが出るおそれがある
ABSなどアクリロニトリル系樹脂分解ガスに有害成分を含むとされ、溶けて糸を引きやすい
臭素系難燃剤を含む樹脂・難燃処理材難燃剤に由来する有害な分解生成物
ポリカーボネート強く変色・炭化しやすく、切断には向かない
CFRP・FRP繊維の粉じんと樹脂の分解ガス。導電性の粉じんによる不具合
ベリリウム銅ベリリウムを含む粉じんの有害性
マグネシウム合金粉じんや切粉が着火しやすく、消火が難しい

とくに塩素やフッ素を含む素材は、人体への影響と装置の腐食が重なるため、避けるべき代表例です。ここに挙げたものがすべてではありません。判断に迷う素材が出てきたら、加工しないという選択を優先してください。

迷ったらSDSで確認する

現場で一番多いのは「素材名がはっきりしない」ケースです。支給品のシート、表示のない在庫材、名前だけ似ている合成皮革などが典型です。こうしたときは、素材メーカーや供給元が発行するSDS(安全データシート)を取り寄せ、組成と有害性を確認してください。

とくに合成皮革は、見た目が同じでも塩化ビニル系とポリウレタン系で扱いが変わります。表示や納入仕様書の記載だけで判断せず、根拠となる資料を押さえてください。分からないまま試し打ちをするのが最も危険な進め方です。素材ごとの適性は加工できる素材のガイドも参考になります。社内で扱える素材の一覧をつくり、新規の素材は確認を経てから追加する運用にすると、判断が人に依存しなくなります。

装置と作業環境の備え

避けるべき素材を扱わないことが第一ですが、通常の素材でも煙や粉じんはゼロになりません。次の備えを標準にしてください。

  • 局所排気と集塵を常に稼働させ、能力に合った加工量に抑える
  • フィルタとダクトの点検・清掃を定期的に行う
  • 安全装置やインターロックを無効化しない
  • 素材ごとの可否を一覧にして現場で共有する
  • 判断に迷ったら取扱説明書とSDSの記載を優先する

集塵の考え方はヒューム集塵機の選び方もご覧ください。素材の可否について現場の誰もが同じ答えを出せる状態にしておくことが、事故を防ぐ一番の近道です。可否の判断に迷う素材があれば、お問い合わせからご相談ください。

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よくある質問

アクリルは加工できますか?
アクリル(PMMA)は非金属の加工で広く使われている素材です。ただし現場で「アクリル」と呼ばれている板の中に、塩化ビニルや別の樹脂が混ざっていることがあります。板の刻印や納入仕様、SDSで組成を確認してから加工してください。
少量なら換気を弱めても大丈夫ですか?
量が少なくても、発生するガスの性質は変わりません。避けるべき素材はどれだけ少量でも加工しない、という判断が基本です。通常の素材であっても、排気と集塵は常に規定どおり稼働させ、装置の安全機能を無効にしないでください。

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2026-10-07 / カテゴリ: 基礎 / サンマックスレーザー株式会社(製品は国内で最終組立・検査・調整しています)