技術

カーフ幅と寸法公差 - 図面どおりに切るために

レーザーで切ると、ビームの幅だけ材料が消えます。この「カーフ幅」を理解すると、図面どおりの寸法に近づけられます。

2026-11-07

カーフ幅とは何か

レーザー切断では、ビームが当たった部分の材料が溶けて吹き飛ばされます。この失われる幅をカーフ幅(切り代)と呼びます。幅はビーム径だけで決まるわけではなく、板厚・材質・出力・速度・アシストガスの種類と圧力・焦点位置といった条件で変わります。一般に板が厚いほど、また速度が遅いほど広がる傾向があります。

カーフ幅を無視して図面の線上をそのままなぞると、外形はカーフの半分だけ小さく、穴はカーフの半分だけ大きく仕上がります。この差が公差を超えると、はめ合いや組立で不具合になります。

同じ機械でも、ノズルの径や焦点位置を変えるとカーフ幅は変わります。また、切断面は上下で幅が異なり、わずかに台形になることも一般的です。どの面で寸法を測るかを顧客と決めておくと、検査結果の食い違いを防げます。

CAM側の補正(オフセット)の考え方

多くのCAMソフトには、カーフ幅の半分だけ軌跡をずらすオフセット機能があります。外形は図面線の外側、穴や内側の輪郭は内側に軌跡をとることで、仕上がり寸法を図面に近づけます。

形状補正なしの仕上がり軌跡をずらす方向
外形小さくなる線の外側
穴・内側輪郭大きくなる線の内側
スリット幅広くなる両側とも内側

注意したいのは、補正値は条件ごとに異なるという点です。板厚や材質が変われば、同じ補正値では合いません。小さな穴は特に影響が大きいため、小さな穴をきれいに切るにはもあわせてご覧ください。

公差を守るための手順

  1. 対象の板厚・材質で、寸法の分かる試験形状(四角と丸穴など)を試し切りする
  2. ノギスやマイクロメータで実測し、図面値との差を記録する
  3. 差の半分をオフセット値として条件表に登録する
  4. 本番前にもう一度試し切りし、公差内に入ることを確認する
  5. 材料ロットが変わったときは再確認する
公差が厳しい部品ほど、「切ってから測る」のではなく「測って補正してから切る」習慣が効きます。条件表に補正値も一緒に書いておくと、担当者が変わっても再現できます。

試験形状は、本番の部品に近い大きさと形で用意すると実態に合った補正値が得られます。外形と穴で別々の補正値が必要になることもあるため、両方を含む形状にしておくのがおすすめです。

カーフ以外の誤差要因も見込む

寸法が合わない原因はカーフ幅だけではありません。切断中の熱で材料が伸び縮みする熱変形、材料自体の板厚のばらつき、ノズルやレンズの汚れによる切断幅の変化、機械の原点ずれなども影響します。

一つの要因だけを疑わず、試し切りで切り分けていくのが近道です。たとえば、外形だけが小さく穴は合っているならカーフの補正、全体が一方向に伸びているなら熱変形や原点、日によってばらつくなら消耗品の状態を疑う、といった具合に切り分けます。検査の進め方は検査・品質管理ガイド、図面データ側の注意点は入稿データガイドにまとめています。

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よくある質問

カーフ幅はどのくらいですか?
板厚・材質・条件で変わるため一概には言えません。お使いの条件で試し切りをして実測するのが確実です。
CAMの補正だけで公差内に収まりますか?
多くの場合は近づきますが、熱変形や材料のばらつきも影響します。厳しい公差の部品は試し切りで確認することをおすすめします。

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2026-11-07 / カテゴリ: 技術 / サンマックスレーザー株式会社(製品は国内で最終組立・検査・調整しています)