2026-05-08
ステンレスのレーザー溶接|薄板でもキレイに仕上げるコツ
ステンレスのレーザー溶接は、薄板でも歪みが少なく、美しい仕上がりが得られるため、食品機器・医療機器・建築金物など幅広い分野で採用されています。
この記事では、ステンレスのレーザー溶接のコツと、仕上がりをきれいにするためのテクニックを解説します。
ステンレスのレーザー溶接が選ばれる理由
- 熱歪みが少ない — 薄板(0.5〜2mm)でも変形しにくい
- ビードが美しい — 均一な幅で外観品質が高い
- 後処理が少ない — 研磨・矯正の工数を大幅削減
- 溶接速度が速い — TIG溶接の3〜5倍の生産性
- 酸化変色が少ない — 適切なシールドガスで変色を最小限に抑制
きれいに仕上げるための5つのコツ
1. 適切な出力設定
ステンレスの薄板溶接では、出力を上げすぎると溶け落ちが発生します。板厚に応じた適切な出力設定が重要です。
| 板厚 | 推奨出力(目安) | 溶接速度(目安) |
|---|---|---|
| 0.5mm | 300〜500W | 高速 |
| 1.0mm | 500〜800W | 中速 |
| 2.0mm | 800〜1200W | 中速 |
| 3.0mm以上 | 1200W以上 | 低速 |
2. シールドガスの選択
ステンレスの溶接ではアルゴンガスを使用するのが基本です。酸化を防ぎ、きれいな銀白色のビードが得られます。裏面にもバックシールドを当てると、裏焼けを防止できます。
3. 焦点距離の調整
レーザーの焦点位置を素材表面に正確に合わせることで、安定した溶込みと美しいビード外観を実現できます。焦点がずれると溶込み不足やスパッタの原因になります。
4. 溶接速度の最適化
速すぎると溶込み不足、遅すぎると溶け落ち。テスト溶接で出力と速度のバランスを見つけましょう。
5. ワイヤー送給の活用
突合せ溶接で隙間がある場合や、肉盛り溶接が必要な場合は、ワイヤー送給機能を使うことで安定した溶接が可能です。
ポイント:ステンレス溶接で最も多い失敗は「出力の上げすぎ」です。低い出力からテストを始めて、徐々に上げていくアプローチが確実です。
よくあるトラブルと対策
| トラブル | 原因 | 対策 |
|---|---|---|
| 溶け落ち | 出力過大 or 速度不足 | 出力を下げるか速度を上げる |
| 溶込み不足 | 出力不足 or 焦点ずれ | 出力を上げるか焦点を調整 |
| 酸化変色(黄〜青) | シールドガス不足 | ガス流量を増やす・ノズル位置調整 |
| スパッタ | 焦点ずれ or 汚れ | 焦点調整・素材表面の清掃 |
まとめ
ステンレスのレーザー溶接は、正しい設定とコツを押さえれば、TIG溶接を超える美しい仕上がりを短時間で実現できます。テスト溶接を繰り返して最適条件を見つけ、高品質な溶接を目指しましょう。