技術
金属の深彫りマーキング - 時間と仕上がりの関係
金属を深く彫るレーザーマーキングは、深さと加工時間、仕上がりのバランスが肝心です。条件の考え方と、品質を安定させるコツを解説します。
2026-09-20
深彫りは「薄く削る」の積み重ね
レーザーマーカーによる深彫りは、1回の走査で表面をごく薄く除去し、それを何度も繰り返して深さを出す加工です。1回で除去できる量には限りがあるため、深さはおおむね走査の回数で決まり、加工時間も深さと彫る面積に応じて延びていきます。文字の輪郭を細く描く通常の刻印と違い、面を塗りつぶすように何層も走査するため、事前の時間の見積もりが重要になります。
工具を使わない非接触の加工なので、硬い材料でも工具の摩耗を気にせず、細かな形状を彫れるのが強みです。一方で、面積が大きく深い彫り込みでは、切削などの機械加工のほうが効率的な場合もあります。
深さ・時間・仕上がりのトレードオフ
| 狙い | 条件の方向性 | 起こりやすいこと |
|---|---|---|
| 時間を短くしたい | 1回あたりの除去量を増やす(出力を上げる、速度を落とすなど) | 熱がこもり、変色や表面の荒れ、縁の盛り上がりが出やすい |
| 底面を平らにしたい | 塗りつぶしの間隔を詰め、層ごとに走査の向きを変える | 走査の距離が増え、時間が延びる |
| 輪郭をシャープにしたい | 1回あたりの熱を抑えて回数で深さを出し、輪郭をなぞる走査を加える | 工程と時間が増える |
速さ・深さ・きれいさを同時に最大にするのは難しいため、どれを優先するかを先に決めることが条件づくりの出発点です。優先順位が決まれば、試し彫りで確かめる条件の幅も絞り込めます。
仕上がりを安定させるコツ
- 彫り進むと加工面が焦点から離れていくため、深い彫りでは途中で焦点の高さを合わせ直す
- 溶けて再付着した微粒子を取り除く走査を途中に挟む
- 小さな部品は熱がたまりやすいので、休止を入れて温度の上昇を抑える
- ワークを治具で固定し、繰り返しの走査でも位置がずれないようにする
- 深さの測り方(測定器や測る位置)を決め、条件と結果をセットで記録する
加工中は金属の微粒子やヒュームが発生します。集塵・排気の考え方はヒューム対策と集塵機選びをご覧ください。
必要な深さから逆算する
深彫りの条件を決める前に、「なぜその深さが必要か」を確認することをおすすめします。塗装やブラストの後でも読めること、摩耗しても表示が残ることなど、目的がはっきりすれば必要以上に深く彫らずに済み、加工時間を抑えられます。文字の大きさや線の太さも、深さと釣り合うように設計すると仕上がりが安定します。
深さ・時間・見た目のバランスは素材によって大きく変わるため、実際の材料で試して決めるのが確実です。刻印の活用例はレーザーマーキング・刻印ソリューション、サンプルの送り方はテストカット・サンプル加工の依頼方法をご覧ください。
よくある質問
出力の大きいマーカーなら深彫りも速くなりますか?
一般に1回あたりに除去できる量が増えるため、速くなる傾向があります。ただし熱がこもりやすくなり、変色や荒れが出る場合もあるため、仕上がりとのバランスで条件を決めます。
どのくらいの深さまで彫れますか?
素材や彫る面積、許容できる加工時間によって大きく変わるため、一概には言えません。必要な深さと仕上がりの条件を伺い、実際の材料でテストして確認するのが確実です。
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2026-09-20 / カテゴリ: 技術 / サンマックスレーザー株式会社(製品は国内で最終組立・検査・調整しています)