QRコード・シリアル刻印の運用と読み取り品質
部品に刻むQRコードやシリアル番号は「確実に読めること」が前提です。読み取り品質を安定させる条件と、運用で起きやすいミスの防ぎ方を解説します。
2026-09-19
ラベルではなく直接刻印する理由
製品や部品の履歴を後からたどれるようにするトレーサビリティ(追跡可能性)では、シリアル番号や二次元コードを部品に直接刻印する方法が広く使われています。ラベルやインクと違い、はがれや消えの心配が少なく、熱や油、洗浄にさらされる部品にも表示を残せるのが利点です。レーザーはデータを切り替えるだけで1個ずつ異なる内容を刻めるため、連番の管理と相性の良い加工です。
一方で、刻印した情報は後から直せません。読めない、番号が重複した、といった問題は、そのまま出荷後の追跡不能につながります。医療機器での考え方は医療機器のマーキングとトレーサビリティでも触れていますが、ここでは業種を問わず、運用と読み取り品質の要点を整理します。
読み取れるコードをつくる条件
- セルの大きさ:コードを構成する1マス(セル)が小さすぎると、刻印のにじみや読み取り機の分解能の影響を受けやすくなります
- コントラスト:刻印部と周囲の明暗差が十分にあるか。素材の色や表面の粗さによって変わります
- 余白(クワイエットゾーン):QRコードは周囲に4セル分の余白が必要とされています。穴や段差、部品の縁にかからない平らな場所に配置します
- 誤り訂正レベル:QRコードはL・M・Q・Hの4段階。高いほど汚れや欠けに強くなる一方、同じ情報量ならコードは大きくなります
刻印スペースが小さい部品では、小さな面積に収めやすいデータマトリックスが選ばれることもあります。
シリアル運用で起きやすいミスと対策
読み取り品質と同じくらい重要なのが、番号の管理です。よくあるのは、刻印に失敗した部品を作り直したときに番号が重複したり、欠番の扱いがあいまいになったりするケースです。
- 採番はソフトの自動連番や生産管理データとの連携で行い、手入力を減らす
- 不良品を再刻印する場合の番号の扱い(欠番にするか、再使用するか)を事前に決めておく
- 刻印した番号・日時・条件を記録として残す
- コードの近くに人が読める文字も併記し、読み取り機がない場面にも備える
連番や外部データとの連携にどこまで対応できるかはマーキングソフトによって異なるため、導入前に確認しておきましょう。
刻印直後の読み取り確認と後工程
品質を安定させるには、刻印した直後に読み取り機で確認する工程を組み込むのが効果的です。二次元コードの印字品質はISO/IEC 15415などの規格で等級として評価する考え方があり、専用の検証機を使えば、読めるかどうかだけでなく、読み取りの余裕の度合いも把握できます。
また、刻印後のめっき・塗装・熱処理・ショットブラストなどでコントラストが落ちることがあります。刻印のタイミングは後工程も含めて検討してください。検査の仕組みづくりは品質管理・検査ガイドも参考になります。実際の部品で刻印と読み取りを試したい場合は、お問い合わせからご相談ください。
※QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です。